学部生でありながら、小児科学研究室で小児白血病の研究に取り組んでいる藤井さん。
もともとは文系出身で「人間とは何か」を考えるために心理学を学んでいましたが、より物質的な観点から考えたいと医学の道を志し、鹿児島大学医学部へ編入した経歴を持っています。
学生広報サポーターが研究室へお邪魔し、お話を伺ってきました。
藤井さんはどんな研究を行っているのでしょうか?
今、2つの研究を行っているのですが、そのうちの1つが「ミコフェノール酸の小児白血病へのドラックリポジショニング(転用)」に関する研究です。
ドラックリポジショニングとは、他の疾患で既に使われている薬から新しい薬効を見つけ出して、別の疾患の治療に応用することを指す言葉です。
私の研究で言うと、「ミコフェノール酸」が既に他の疾患で使われている薬にあたります。ミコフェノール酸には白血病を抑える作用があるのではないかと考えて、その可能性を調べています。
これまでは、小児白血病の細胞株にミコフェノール酸をかけて、効果を見てきました。この実験で成果が得られましたので、今後は白血病のマウスを使って、ミコフェノール酸を投与すると腫瘍が小さくなっていくかを実験していく予定です。
この研究成果は、10月に行われた日本血液学会で発表も行いました。初めての学会発表でしたので、沢山練習して挑みましたが、実はその時のことは緊張してしまってあまり覚えていません。学会の先生方が温かい目で、優しく質問してくださったのが印象的でした。
もう1つの研究は、どんな研究なのでしょうか?
2つ目は、「白血病の画像解析技術」に関する研究です。
血液のがんである小児白血病を診断する際の重要な検査の1つに、血液検査があります。血液検査では、採取した血液中の血球を特別な液体で染めてスライド化し、細胞の数や形に異常がないかを医師が目視で確認しています。
白血病の細胞は患者さんごとに大きさや色に様々な特徴があるので、それらをプログラミング技術を活かして数値化し分析することで、患者さんの病気の特徴や経過などとの関連が見えてくるのではないか、というのが研究の概要です。小児白血病は一般的な白血病よりも予後が良いため、後遺症を残さず、しっかり治すことが求められます。
この研究には、症状の重さや効果の出やすい治療方法などを推測し、患者さんに合った治療法を事前に選択できるようになる可能性があると考えています。大きな先行研究があるわけでもないのでなかなか大変ですが、成果が出せるように引き続き研究を進めたいです。
お話から、藤井さんの研究への情熱や行動力が伝わってきました。
文系から編入されたという経歴も驚きですが、どうして医学の道を選んだのですか?
小さいころから生と死、人が生きるとはどういうことなのか、という根源的な問いに興味があり、別の大学では心理学を専攻していました。
心理学では、研究を進めるにあたり、アンケート調査など言語を介する方法が頻繁に取られていました。しかし、自分の興味はもっと物質的な、分子的なところにあることに気づき、医学の道を志し、医学部に編入しました。
現在全ての病気が防げるわけではない中で、発生してしまった病気を治せるようになるのが医学のすごいところだと思っています。知れば知るほど医学や人間の凄さを実感しますし、今後の発展に自分が貢献できたらいいなと思います。
最後に、藤井さんの今後の目標を教えてください。
実は現在、小児科の岡本 康裕教授のご縁と力添えのもと、小児がん研究で世界をリードするアメリカのセントジュード小児研究病院( St. Jude children’s Research Hospital)に約2か月間留学させてもらっています。留学の間は、脳腫瘍の研究に取り組んでいます。
この短期滞在の間に大きな研究成果を出すことは難しいかもしれませんが、まずは積極的にコミュニケーションをとり、良いネットワークを築きたいなと思っています。こんな風に、やりたいことを自由に、手厚いサポートのもとでやらせてもらえる、小児科での恵まれた環境に感謝しています。毎日が本当に楽しいです。
卒業後はアメリカでの就職も視野に入れていますが、アメリカと日本のどちらで働くにしても、私は研究をずっとやり続けたいと考えています。小児科の先生方からのアドバイスである「臨床で実際に患者さんを診て、そこで感じた課題を研究に持ち込める研究者になってほしい」という言葉通り、やはり私も臨床と研究の両方を追求していきたいです。
