1枚の航空券から広がる世界-グローカルな視点を後輩へつなぐ
No.005

1枚の航空券から広がる世界-グローカルな視点を後輩へつなぐ

大手総合商社勤務(理工学研究科(工学系) 修了)鹿毛 健広さん

 

鹿児島大学在学中、様々な方からの支援を受けて海外へ飛び出した鹿毛さん。
これまでの経験の中で、行動力と人脈、そして「グローバル」と「ローカル」どちらの視点も持てるようになったと振り返ります。

今度は自分が「次の世代の人々が世界に飛び出すためのきっかけ」となりたいという想いから、このたび、鹿児島大学へ留学事業の発展のためのご寄附をいただきました。

今回はそのご縁で、広報・渉外室基金係が鹿毛さんを取材。世界を飛び回りながら鹿児島のために活躍される鹿毛さんの、熱い想いをご紹介いたします。

 

 1枚の航空券が変えた人生

大学2年の夏休みのことでした。私は、母方の親族から突然渡された航空券で、初めてアメリカへ一人旅に出ました。
そこは、当たり前が当たり前じゃない世界。大分県出身で、九州から出たことがなかった当時の私にとって、かなりの衝撃でしたね。

この経験が、私の人生を大きく変えてくれました。帰国後は海外研究会というサークルに参加し、当時10人ほどだった会員を、最終的には120人規模にまで拡大させました。自分自身も、大学在学中に40カ国以上の国を訪れました。

 

きっかけを作る側へ…学生NPO設立

在学中には前述の旅の他にも、文部科学省の「トビタテ留学JAPANプロジェクト」を活用した留学もしました。
その経験から、大学院時代には、経済的な理由で海外に行けない学生を支援することを目的に、学生NPO法人を立ち上げました。自分が海外に行って衝撃を受けたように、後輩たちにもそのきっかけを作りたかったんです。

資金集めは困難を極めました。県内企業を50社くらい訪問しましたが、何度も断られましたね。最終的には、クラウドファンディングで30万円以上を集めて、実際に支援に繋げることができました。

この活動を行ってよかったことの1つに、鹿児島の地元企業との繋がりが生まれたことがあります。タイへの学生派遣プログラムでは、現地で鹿児島県産の緑茶を手売りする体験を実施しました。このとき参加した学生たちは、後に鹿児島県庁や県内の自治体に就職するなど、現在も地域活性化に取り組んでくれています。

また、NPOメンバー全員で、鹿児島大学で行われた稲盛 和夫氏の講演会に参加したことも私にとっていい経験となりました。質疑応答の時間に手を挙げて、NPO法人のメンバー間の温度差に悩んでいることを相談したんです。稲盛さんは私に、「自分の背中を見せろ。真剣にやっていれば、それを見てついてくる」と答えてくださいました。一生忘れない言葉です。

 

寄附を通じた次の世代への想い

私は今回、海外研修や留学支援の充実を期待し、鹿児島大学に寄附をしました。それはやはり、自分自身が海外に行って衝撃を受けた経験があるからです。
海外に興味があったとしても、誰かが後押ししないとなかなか行けない。特にお金の面での支援が必要です。できるだけ多くの学生に、そのきっかけをあげたいなと思っています。

在学生の皆さんには、騙されたと思っていちど海外に出てほしいです。旅行でも、大学の研修プログラムでもいい。私は在学中に海外研究会で30人近くを海外に送り出しましたが、行って後悔したという学生は1人もいませんでした。

 

鹿児島の未来のために

私は卒業後、東京の総合商社に就職し、デジタル技術を活用した水産業の革新に取り組んでいます。働いている場所は東京ですが、鹿児島との繋がりは途切れていません。現在も鹿児島大学の卒業生や自治体職員らと定期的に交流し、地域の未来について議論を重ねています。この交流がきっかけで、産学連携の業務に発展することもあります。

鹿児島の外に出たからといって、鹿児島のことを考えられなくなるわけじゃない。それは海外に出るのと一緒で、むしろ、できることが増えるようになるきっかけなんだと感じています。東京にいながら、鹿児島のために動く。それもまた、私にとっての地元への貢献の形です。

 

 

(取材:広報・渉外室基金係)