介護士スケジューリングにおける過去の勤務表からの制約条件の抽出に関する研究
No.002

介護士スケジューリングにおける過去の勤務表からの制約条件の抽出に関する研究

理工学研究科(工学系)情報・生体工学プログラム 博士前期課程2年末永 康貴さん
博士前期課程2年 末永 康貴さん

介護施設で使用されている勤務表。勤務表の作成は、職員それぞれの要望や負荷などを考えなければならず、とても時間のかかる作業です。

そこで、介護施設の業務負担の改善を目指し、勤務表を自動で作成するプログラムを研究しているのが末永さん。プログラムに過去の勤務表のデータを読み込ませておけば、ボタンひとつで新しい勤務表を作成させることが可能なのだそうです。

研究室にお邪魔し、詳しいお話を伺ってきました。

どんな研究をしているのか、教えてください。

私の研究テーマは、「介護士スケジューリングにおける過去の勤務表からの制約条件の抽出に関する研究」です。介護施設の勤務表作成業務を自動化するプログラムを作るために、過去の勤務表データからどのような制約条件を抽出するか、また、不要になる例外的な勤務パターンを取り除く手法を研究しています。

この研究テーマは、先輩の先行研究を引き継いだものになります。先輩の先行研究では、例外的な勤務パターン、例えば「致し方なく特定の人に負担をかけてしまったとき」など、介護施設の理想としない勤務パターンがまだ十分に取り除ききれていないということが課題として残っていましたので、その解決を目指しています。

実験室のクラスタ環境 実験室のクラスタ環境
実験室のクラスタ環境
複数のコンピュータを連結することで、より高性能な処理が可能になるのだそうです!

例外的な勤務パターンは、どうやって取り除くのでしょうか?

3段階に分けて取り除いていきます。

まずは職員を一人ずつに注目して、この日に休みたい!というような希望シフトの割合が高い人のデータを取り除いていくのが一段階目です。

次に、日ごとの勤務人数に注目して、「自由に勤務を割り当てることが可能な職員の人数を、その日最低限必要な職員の人数で割った数値」で判断し、閾値を越えなかった日のデータを取り除くのが二段階目です。閾値より低いと人手が足りず、理想としない勤務パターンで組まざるを得ない可能性が高いと判断した形です。

最後に、連続する数日間の勤務パターンを抜き出して、実際に登場する回数が少ないパターンのデータを取り除いていくのが3段階目です。具体的には、介護施設の勤務表を「日勤」「夜勤に入る日」「夜勤を終える日」「休日」など、1日単位で分類して、これを数日単位で「日勤→休日」「日勤→夜勤に入る日」などの連続した情報として見ていくんです。例えば、夜勤後に日勤に割り当てられるパターンの登場頻度が少なければ、これは理想としない勤務パターンなんだなということが推測できるので、取り除いていくわけです。

こうやって例外的な勤務パターンを取り除くことで、自動作成した勤務表の品質が向上し、理想としない勤務パターンの登場回数が減少したという結果が得られました。

連続する2日間の勤務パターンを数字化し、出現頻度を分析します。
連続する2日間の勤務パターンを数字化し、出現頻度を分析します。

この成果を発展させていけば、多くの方の負担が減らせそうですね!

そうですね。私の母は看護師で、介護士と同じく夜勤などを含むシフト制で働いています。その中で負担の大きいシフトが回ってきたり、希望通りにならなかったり…ということも多いと聞いていましたので、母を含め、シフト制の仕事の方々の負担軽減に貢献できたらいいなと思っています。

今後は、様々な施設でも汎用的に使えるプログラムになっているかの検討や、希望シフト情報がなくても品質を確保するための改善などが課題になるかと考えています。施設によっては、職員から希望シフトが提出されてもそのデータを上書きしてしまっていたり、手書きでやりとりして捨ててしまっていたり、そもそも希望シフト制度がないといったケースも多いと思うので。

まだまだ研究を続けたいところではありますが、私は今年度で大学院を修了する予定です。研究室には優秀な後輩たちがたくさんいますので、ぜひ今後は後輩たちに研究を引き継いでもらい、実用化に向けてさらに品質を高めていってもらえたら嬉しいです。

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