CONTENTS
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表紙
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特集
産官学でつなぐ地域情報教育・人材強化の新拠点
理工学研究科DXコネクトセンター始動 -
学びの部屋 ~誌上講義室~
データから本質を読み取る
「宇宙・地球における計測・計量」/
共通教育センター・教養教育科目・教養活用科目
今井 裕 教授 -
Research&Contribution ~鹿大の研究~大学院医歯学総合研究科
顎顔面疾患制御学分野
奥井 達雄 教授
大学院教育学研究科
髙瀬 和也 助教 -
OBOG interview ~卒業生メッセージ~株式会社オービジョン 代表取締役
大薗 順士 さん -
KADAI TODAY令和7年度レジリエント社会・地域共創シンポジウム
「大規模火山噴火における災害医療の課題解決に向けて~多職種連携に挑む~」を開催
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鹿大トピックス井戸章雄学長が鹿児島日経懇話会例会で講演
副学長(国際担当)がインドネシアを訪問・学術交流協定校及びインドネシア同窓生らと交流
ほか -
with KU ~パートナー企業紹介~株式会社マルマエ
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Growing! ~鹿大生の横顔~鹿児島大学工学部4年
馬場 健輔 さん
鹿児島大学法文学部3年
藤 尚剛 さん -
CircleFlix ~サークル紹介~SATSUMAロケット研究会
今号の表紙「合格者発表」
挑戦の末につかみ取った喜びと、希望に満ちた瞬間です。合格者発表の掲示板に並ぶ番号の中から自分の受験番号を見つけ、抑えきれない歓喜と感動に包まれる受験生。アメリカンフットボール部の胴上げが、新たな門出を力強く祝福します。
はらぐちあつこ(イラストレーター)
鹿児島大学法文学部法政策学科卒。電力会社勤務を経て、桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科修了。東京のデザインコンサルティング会社でVI・CIデザイン制作業務の他、歴史絵本制作にも携わる。2015年より峰岸達氏に師事。2020年より福岡市に移住し、フリーランスのイラストレーターとして活動中。

産官学でつなぐ地域情報教育・人材強化の新拠点
理工学研究科DXコネクトセンター始動

大学院理工学研究科工学専攻
機械工学プログラム

大学院理工学研究科理学専攻
生物学プログラム

大学院理工学研究科工学専攻
海洋土木工学プログラム

大学院理工学研究科理学専攻
物理・宇宙プログラム
デジタル技術が社会のあらゆる領域に浸透する中、鹿児島大学大学院理工学研究科は、2024年11月、未来のDX人材育成と地域課題の解決を両輪で進める新たな拠点として「DXコネクトセンター」を設置しました。設立から1年を記念し、これまでの取り組みや今後の展望を語り合う座談会を行いました。センターでは、人材育成と地域貢献において『コネクト』の名の通り、学内外をつないだ未来への挑戦が始まっています。
座談会DXがつなぐ地域の未来
未来へ進むための『エンジン』に
- 小山センター長(以下、小山)
DXコネクトセンターは、2024年11月、既存の「地域コトづくりセンター」と「グローバル人材育成支援室」を再編して設置され、翌年4月に本格稼働しました。きっかけは、文部科学省の「大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」です。理工学研究科では情報系教育を強化する必要があり、今から3 年前に当時の研究科長である山口明伸先生、工学部長の木方十根先生と私とで議論を重ね、人材育成と地域貢献の両輪を回す『エンジン』としての役割を担う組織づくりを目指しました。
- 山口研究科長特命補佐(以下、山口)
情報系教育の強化とともに、鹿児島大学全体として地域や産業界と連携できる組織をつくろうという構想で、「人材育成部門」と「先端研究・地域連携部門」の二本柱で構成しています。また、喫緊課題に対応するために設けた「DXタスクフォース」では、九州シリコンアイランド復活の動きを受けて半導体人材育成タスクを始動させました。現在、半導体人材育成理工学センターとして、九州のコンソーシアムや県内協議会と協働しながら半導体人材の育成を進めています。
高校との連携も強化
- 小山
今回、初めて高校生を招いたシンポジウムを開催しましたが、これも大きな一歩です。高校までは受験勉強が中心かと思いますが、これを機に、これまでの学びがどう社会に役立つか、新しいアイデアがどう地域貢献につながるかを考えていってほしいですね。
- 九町部門長(以下、九町)
シンポジウム後、「生徒の目が変わった」という声もいただきました。大学の雰囲気を体感することが刺激になったようです。
- 山口
「何が課題で、どうやって解決するのか」という視点で技術を学ぶことを、教育する側がきちんと示していく重要性を改めて感じました。パネルディスカッションでは、生成AI時代の情報教育について多角的な議論が行われましたが、AIの活用も含め、同じ理系の先生方でもいろんな考え方、使い方がありますよね。
- 九町
理学部の人間は結構ピュアなんですよ。AIに頼るよりは自分の頭で考えたいというか。
- 木下部門長(以下、木下)
新しいツールに抵抗があっても、使わざるを得ないという流れはありますね。ただ、思考力や判断力を養うという教育の本質は変わりません。
- 山口
変化のスピードが速すぎて、悪用を防ぐ教育や法整備が追いつかない。そんな中で変化を受け入れていかなければならない。難しい時代になっていますね。
- 小山
だからこそ、DXコネクトセンターでは外部有識者の方々にも参画していただき、最新情報を取り入れながら次世代に伝えていく仕組みを作っていこうと考えています。これも、教育と産業を回していくという一つのエンジンです。
- 山口
理系・文系を問わず、高校生の皆さんには、将来いろんな専門分野でDXを活用できる人になってほしいですね。数理・DS(データサイエンス)・AI教育コンソーシアムとして、他学部のさまざまな分野に使ってもらえる教材も用意しています。
研究課題を共有し、次の一手へ
- 木下
先端研究・地域連携部門では、6つの研究領域で8つの研究会を立ち上げて地域の課題に取り組んでいます。特に、「鹿児島ハイブリッドロケット研究会」は順調に発展している研究会の一つです。さらに、「コトづくり支援ラボ」で実験装置の製作支援や学生実習を行うほか、「SDGs推進事業」では、人工衛星のデータやドローンを使った海洋プラスチックごみのモニタリングなど、研究成果の社会実装にも力を入れています。
- 山口
研究者同士でもお互いの課題を十分に知らないことがあります。情報を共有し、次のステップを共に考える拠点になればと思います。
- 木下
DXコネクトセンターの認知度を高めるための機会を積極的につくっていきたいですね。
ここから始まる新たなビジョン
- 小山
企業と連携した大学院生のインターンシップも強化し、企業の研究開発マインドを学ぶ機会をさらに充実させたい。そして将来的には、県内のDX・地域貢献人材の「ハブ(HUB)」として発展させたいと思っています。当センターの協議会・協賛企業は大学院生のスタートアップもバックアップしてくださっています。本当に感謝申し上げます。地域の産業を支えていく人材を、自治体や教育機関と連携しながら育てていきますので、企業の共同研究、人材育成にも、ぜひセンターを活用していただきたいです。
- 九町
グローバル分野では、昨今留学が難しい状況もあるので、国内で国際交流ができる仕組みやオンライン交流なども広げていきたいです。
- 山口
リスキリングやリカレント教育にも活用してほしいですね。
- 小山
このセンターができてから、私たちは夢のある話ばかりしてしまうんです。ここで生まれたものが、大きく育ってこの場所を飛び出し、地域や社会を動かしていく。そんな未来を本気で描いています。

人材育成部門
シーズとニーズに見合った教育カリキュラムを開発・実施
数理・DS・AI教育グループ
大学院理工学研究科工学専攻
海洋土木工学プログラム
山口 明伸 教授
文部科学省認定「数理・データサイエンス・AI 応用基礎力育成プログラム」と、全国展開している「数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム」を基盤に、本学の数理・DS・AI教育の高度化を推進しています。AIやデータ解析技術、アクティブラーニング型教材など、最新の情報科学を取り入れた教材・コンテンツを開発し、学内外へ提供するとともに、学修効果を高める教育モデルの構築にも取り組んでいます。今後も、地域の教育機関や産業界との連携を強化しつつ、実践的な数理・DS・AI教育の強化を図り、データ駆動型社会を支える人材育成に貢献していきます。
DX教育推進グループ
大学院理工学研究科情報科学専攻
情報科学プログラム
松元 隆博 教授
地域産業のDX化やグローバル化を牽引する人材の養成を推進しています。情報系分野で活躍する現役のエキスパートを特任教員に迎える「クロスアポイントメント制度」の導入により、社会現場で必要な能力や実践的な知識、技術を教育現場に取り入れ、地域課題を踏まえたPBL(課題解決型学習)などの教材やカリキュラムの共同開発、異分野融合のDX教育を実施。現在、「情報科学実践演習I、II」「情報システム工学特論」「先端科学特別講義」の講義を行っています。
インターンシップ支援グループ
大学院理工学研究科理学専攻
物理・宇宙プログラム
小山 佳ー 教授
産学協働イノベーション人材育成協議会(C-ENGINE)や、ジョブ型研究インターンシップ事務局と連携した研究インターンシップ事業を展開しています。コーディネーターが在籍し、企業とのマッチング、実施中のフォローまで丁寧に支援します。また、制度内容や参加方法についても定期的な説明会で分かりやすく案内しています。三菱電機や住友電気工業などの有名企業を含む多様な企業で、実社会の課題に基づく研究に取り組むことができ、研究力に加え実践的なスキルや視野を広げる貴重な機会となっており、一定期間の参加により大学院の単位としても認定されます。
グローバル人材育成グループ
大学院理工学研究科工学専攻
建築学プログラム
ボウ コーザー(Bo Causer) 助教
理工学研究科において、世界を舞台に活躍できる人材育成を支援します。
①海外研修支援「GOES海外研修」:語学学校での英語学習、研究機関見学、現地学生との国際交流を組み合わせた実践的な海外研修プログラムです。
②理工学研究科の国際交流活動の支援:海外の大学・研究機関からの訪問者との交流活動を支援し、国際的ネットワークの構築を目指します。
③ランゲージサポートの実施:国際学会での発表支援や、英語で円滑にコミュニケーションを行うための支援、TOEFL・IELTS の英語資格試験対策を支援します。

先端研究・地域連携部門
産学共同研究・地域イノベーション創出を推進
理工学に関する研究・技術開発を支援し、地域社会における安全安心な暮らしと産業の発展に寄与することを目的とした研究会を設置しています。
地域創生・安全工学領域
大学院理工学研究科工学専攻海洋土木工学プログラム
酒匂 一成 教授
誰もが安心•安全に暮らせる地域・生活空間づくり、持続可能な自然環境の維持・保全、そして自然災害の脅威から人々を守ることを目的に、革新的技術の開発に取り組んでいます。具体的には、豪雨、地震、津波などの自然災害への備えとして防災・減災の新たな手法や、ライフラインを強靭化する仕組みを提案し、これを達成するための技術を創造します。さらに、地域の未利用資源や廃棄物を有効活用する技術開発について、地域企業、地方行政団体、教育機関が一体となって取り組める組織をつくり、そこで生まれるシーズを具体的な技術へと発展させていきます。
情報科学領域
大学院理工学研究科情報科学専攻
情報科学プログラム
大橋 勝文 教授
情報技術の多様化・高度化が進む中、情報科学領域では、令和7年度から始まった本研究科の「情報科学専攻(博士前期課程)」および「情報科学コース(博士後期課程)」と連携し、地域社会ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる研究シーズの創出を目指します。また、理工学の枠を超える異分野融合や、さまざまな業種の専門家との異業種交流を通じて、そこから生まれる潜在的なニーズを掘り起こし、革新的な価値を生み出す「情報イノベーション」の創出にも積極的に挑戦しています。
医療・福祉工学領域
大学院理工学研究科理学専攻
化学プログラム
濱田 季之 准教授
理工学研究科の先端的な知識と技術を活かし、高齢化、介護、地域医療が直面する課題の解決に挑みます。南九州をはじめとする地域社会と連携し、医薬品の研究開発、医療用センサーや病気検査システムの構築、リハビリテーションや介護・医療機器の補助システム、福祉機器の開発など、現場の声に応える実践的なプロジェクトを推進します。離島を含む地域独自の医療情報の活用にも積極的に取り組み、多様なバックグラウンドと専門性を持つ人材が協働する場を創出。地域住民、自治体、医療•福祉の現場と連携し、継続的かつ自立的に新しい価値を生み出せる人材を育てます。
環境・エネルギー領域
大学院理工学研究科工学専攻建築学プログラム
鷹野 敦 准教授
南九州の風土に根ざし、その強みを活かした環境・エネルギー関連事業の創出と、革新的な技術開発につながる研究シーズの創出を目指します。人間を含めた全生物にとって持続可能な環境を実現するために、化学物質のようなミクロレベルから、都市や海洋環境のようなマクロレベルまで、研究対象は多彩です。「微量汚染物質」「建造環境」「海洋」「島嶼」「再生可能エネルギー」「ゼロカーボン」などをキーワードに、地元企業や行政団体、学術・研究機関と連携して、地の利を活かした具体的な技術開発を進めていきます。資源リサイクル研究開発研究会では、2025年11月28日と2026年1月15日にセミナーを開催しました。
天文宇宙領域
大学院理工学研究科工学専攻
機械工学プログラム
片野田 洋 教授
鹿児島は薩摩藩の時代から天体観測を行ってきました。また、鹿児島県には日本で唯一、国家プロジェクトとしてのロケット射場があり、毎年定期的に打ち上げが行われています。近年、超小型人工衛星の打ち上げ需要が高まり、世界的に小型ロケットの開発が盛んになっています。天文宇宙領域では、宇宙に深く関わり続けてきた鹿児島県という土地柄と、最近の社会的なニーズを背景に、小型民間ロケットの打ち上げなど、地域の企業・団体とともに鹿児島発の宇宙開発を実現させるためのさまざまな研究シーズの創出を進めています。本研究会では、2026年2月24日に南種子町・前之浜海岸にて、鹿児島ロケット6号機と鹿児島ロケット7号機の打ち上げを行い、無事成功を収めました。
先端物質材料開発領域
大学院理工学研究科工学専攻化学工学プログラム
二井 晋 教授
新しいモノ=物質が生まれると、我々の生活だけでなく世界が変わります。鹿児島の歴史にも素晴らしいモノづくりのストーリーがあります。種子島に火縄銃が伝えられたとき、種子島時寛は島で採れる砂鉄から銃身をつくり、火薬製造法を取り入れて実践して、驚くほどのスピードで火縄銃の製造技術を確立しました。その後の日本では世界最大数の火縄銃が使われたと言われ、果たした役割は革命的でした。この例のように新しいモノが生み出される背景には、文化や風土が強く関わっています。我々は鹿児島から世界を驚かせる、先進物質材料を生み出すための研究シーズをつくり、育てることを目的として活動しています。本研究会では、食品のものづくり技術の開発・改良、あるいはそれにつながる可能性のある新情報を提供しています。その取り組みの一つとして、2026年2月20日に第8回食品加工開拓研究会講演会を開催しました。
コトづくり支援ラボ
大学院理工学研究科工学専攻
機械工学プログラム
熊澤 典良 准教授
コトづくり支援ラボは、大学設置基準に明記された本学の実験・実習工場施設です。ここでは、学内における実験・実習工場としての機能と、教育・開発の機能を融合させた組織活動を行っており、理工学研究科技術部と連携を取りながらさまざまな業務を実行しています。主な業務には、大学のカリキュラムに基づく工作実習等を実施する教育関連業務に加え、研究室等からの依頼に基づく実験装置や設備を製作する開発関連業務があり、コトづくり支援ラボ担当技術職員とともに自施設の設備を活用して幅広い業務を進行しています。また、ワークショップなどで工場見学を実施しています。
SDGs推進事業
大学院理工学研究科工学専攻
海洋土木工学プログラム
加古 真一郎 教授
SDGs推進プロジェクトは、既存事業の強化と新規事業の創出を目指す研究を推進しています。特に、地域版ビッグデータの活用により、鹿児島県の水産·海洋産業のスマート化を推進するシステム、鹿児島県島嶼部において再生可能エネルギーを高効率で利用するシステム、海洋プラスチックごみの効率的な処理・処分を実現可能とする海洋プラごみ監視システムの開発を進めています。

DXタスクフォース
喫緊の課題に迅速に対応する機動組織
災害・防災対応や新技術への先行取組など、喫緊の課題に対応するための機動組織。第一弾の「半導体人材育成タスクフォース」は、九州全域で進む半導体人材の推進体制の礎を築き、「半導体人材育成理工学センター」へ発展的に継承されています。今後も学生の学びと、地域·産官との共創を加速する先発隊として機動力を発揮します。
半導体人材育成理工学センター
大学院理工学研究科工学専攻
海洋土木工学プログラム
山口 明伸 教授
統括マネージャー
大学院理工学研究科工学専攻
電気電子工学プログラム
青野 祐美 教授
南九州における半導体関連の教育研究拠点を形成し、九州の産業界、教育機関、行政機関と連携した半導体人材育成を推進することを目的に設置。センター内にある半導体プロセスの実習・体験施設「SARF-Kagoshima」では、半導体工場で働く人の精神的負担軽減の実験的取り組みの一環として、鹿児島県産の竹材を使った実験室を備えています。
トピックス
DXハイスクール~DX人材育成を加速~
DX人材育成の活動として、文科省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に採択された学校法人川島学園鹿児島実業高等学校と本学理工学研究科、また鹿児島県立工業系高等学校(鹿児島県立鹿児島工業高等学校、川内商工高等学校、加治木工業高等学校、隼人工業高等学校)と本学工学部は、昨年11月に、それぞれ高大連携事業に関する協定を締結しました。当センターでは、地域社会に貢献するDX人材の育成を目的とし、大学による高等学校生徒への特別授業や講演会の開催、高等学校生徒による大学施設・設備の見学、教育および高大接続に関する意見交換など、地域産業を牽引するDX人材育成の連携強化に取り組んでいます。
研究インターンシップ参加者募集!!
~有名企業の研究課題に挑戦~
鹿児島大学× 産学協働イノベーション人材育成協議会(C-ENGINE)
大学院理工学研究科の修士・博士・ポスドクを対象に研究インターンシップの参加者を募集しています。このインターンシップは2020年度から選択必須科目になり、博士前期課程の場合、1カ月の参加で「研究インターンシップII」(2単位)、2か月の参加で「研究インターンシップI」(4単位)が認めら れます。大学とは異なる環境にとびこみ、さまざまな「刺激」と「気づき」を得る絶好の機会です。
- 対象者
- 大学院理工学研究科の博士前期・後期課程・ポスドク
- 内容
- 鹿児島大学を含む国内22大学が25グローバル企業※1にて、研究テーマを決め、1ヶ月~3ヶ月程度の期間に実施します。
鹿児島大学× ジョブ型研究インターンシップ推進協議会
産業界と大学が協力して実施する長期・有給ジョブ型のインターンシップを実施しています。選択必修科目「国内長期インターンシップ」(4単位)に認定されます。
- 対象者
- 大学院理工学研究科の博士後期課程※2
- 内容
- 鹿児島大学を含む国内109大学と66社の企業※1が参画。
長期間(原則として2か月以上)かつ、有給のインターンシップ
(※1) 2025年4月現在
(※2) 連合農学研究科の学生も参加可能。詳しくはセンターまでお問い合わせください
肝付町との包括連携協定
理工学研究科は2017年度より、肝付町との包括連携協定に基づき、教育・人材育成を中心とした地域貢献活動を進めてきました。小学生や教育関係者への出前授業、宇宙分野での科学普及、地域拠点整備への協力など、双方の強みを生かした協働的な取り組みを展開しています。今年度はYAC(日本宇宙少年団)うちのうら銀河分団の教育活動に対し、本研究科から教員2名を派遣し、科学・科学・工学実験を実施しました。これらの取り組みは本センターによる地域貢献の一環として展開しており、地域における理工学系教育環境の充実と発展に寄与しています。
「宇宙・地球における計測・計量」/共通教育センター
教養教育科目・教養活用科目 今井 裕 教授
データから本質を読み取る
宇宙や地球における時間や空間、質量といった物理量は、どのようにして測られるのか。「宇宙・地球における計測・計量」の授業では、高校までに学んだ数学や理科の知識を手がかりに、計測・計量を行う方法とその意義を実践的に学んでいく。データをもとに考える力を養う講義の第11回、直接見ることができないブラックホールの質量と太陽系からの距離を推定する講義の現場を訪ねた。
高校数学・理科で挑むブラックホールの質量
「宇宙の彼方にある直接見ることのできないブラックホール(以降BHと呼ぶ)の質量や距離をどうやって測るのか」。今井裕先生の授業では、学生たちが配布されたデータ資料を囲み、活発に議論を交わしている。扱う対象は壮大だが、「理系文系の区別はしていません」と今井先生。三角関数や微積分を使えれば、高校で地学を履修していなくとも取り組める内容であり、データから読み取れる事象を一つずつ考慮していけば、きっと解答にたどり着ける。授業の多くの時間はグループディスカッションに充てられ、学生たちは協力しながら科学的思考のプロセス全体を体得していく。
実際の論文データから何が見えてくるのか
今回のテーマでは、二つの出版論文に掲載された観測データをもとに、超巨大BHの質量と太陽系からの距離を推定する。一つ目のデータは、世界で初めて超巨大BHの存在を立証した中井直正氏が研究したNGC4258銀河について、後年米国チームにより取得された銀河中心BH周辺で回転するガス円盤が発する電波放射の動きを測定したもの。二つ目は、2020年にノーベル物理学賞を受賞した米独チームが取得したもののうちドイツチームによる論文に掲載された、天の川銀河中心BH(SgrA*)の周囲にある星(S2)の運動を追跡した長期観測データだ。
観測で確認できるガスや星の角距離、視線速度といった情報を物理法則に照らし、理論的枠組みに当てはめていくと、BHの性質が浮かび上がる。学生たちはまず、三角関数や幾何学、ケプラーの法則、ドップラー効果など、高校までの学習で得た知識がどこで利用できるかを考えながらデータをじっくり眺め、課題解決の手がかりについてアイデアを出し合っていく。
ここで今井先生は、「自然界の現象から得られる数値は、単純化された教科書や入試問題のものとは違います」と強調する。細かなズレやばらつきを含む自然界のデータを前に、何を読み取り、どういった判断材料をもとに有効数字を掴んでいくのか。宇宙規模の現象を扱うからこそ、すべてを厳密に追いすぎず、適切に単純化し知っている知識に当てはめる発想力が求められている。
五つのステップが育てる観察眼と考える力
今井 裕(いまい・ひろし)教授
鹿児島大学総合科学域総合教育学系
総合教育機構共通教育センター 教授
[学位]博士(理学)東北大学 1999年
[所属学会]日本天文学会
[専門分野]電波天文学、星間・星周物理学
テーマのゴールは、BHの質量と太陽系からの距離を数値として算出すること。データから導き出された「ガスも星もケプラーの法則に則った公転運動をしている」「軌道は平面(軌道面)内に収まっている」「その動きは天球面に対して傾斜を持つ」といった性質が、計算の手順を確立する重要な手がかりとなる。
この講義で学生たちが体験する五つのステップ①課題について知っていることを確認する②よく観察し、解決の手がかりを掴む③手掛かりを得て調べ、道筋を立てる④道筋に従い作業手順を実行する⑤結果を考察する、という流れは、理系文系を問わず、社会生活においても必要とされる普遍的スキルである。この講義が育てるのは、計算能力だけではない。複雑な事象から本質を見抜き、適切な方法で分析する力。そして、他者と協力しながら課題を解決していく力だ。
「難しいから考えないというのではなく、最初は難しく見えても、同じようなことを何回も経験していく中で、手掛かりを見出し調査を進め、思考する習慣が身についていく。それが大事だと考えています」。宇宙という壮大なスケールを題材に、学生たちは科学的思考のプロセスとともに、自然界や人間社会を客観的に捉える観察眼を獲得していく。BHを探求する試みは、同時に自らの思考を磨き、直接見えないものを理解しようとする姿勢を育てる実践でもある。
口腔がん治療の新たな可能性「頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)」の導入
~切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんを光で狙い撃つ~
奥井 達雄 教授
大学院医歯学総合研究科 顎顔面疾患制御学分野
増加する口腔がん治療の
新たな選択肢
口腔がんは、頬粘膜部、上歯槽と歯肉、下歯槽と歯肉、硬口蓋(上あご)、舌、口腔底など、食べる、話すといった機能に直結する口の中の部位に発生するがんです。60歳代以上の男性に多く、危険因子として喫煙や過度の飲酒、むし歯、歯周病などによる慢性炎症の放置などが挙げられます。2019年には年間8000人でしたが、昨年は年間およそ1万人が罹患するなど、ここ数年で急激に増加している疾患の一つです。
口腔がん治療では、がんを制御することに加えて、治療後の生活の質をいかに保つかが重要な課題となります。現在、科学的根拠に基づいた標準治療としては手術が第一選択で、進行したがんに対しては化学療法(抗がん剤)や放射線治療を含めた集学的治療を行います。しかし、進行がんや再発を繰り返す症例では、外科的切除や再建手術が困難となる場合も少なくありません。そうした患者さんに新たな希望をもたらす治療法が「頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)」です。
光に反応する薬剤で
がん細胞だけを破壊する
光免疫療法は、光に反応する薬剤を用いたがん治療法で、米国国立衛生研究所の小林久隆先生によって開発されました。実際の治療ではまず、特定の光に反応する色素を付けた薬剤を点滴で患者さんに投与します。約24時間経過し、薬剤ががん細胞表面のタンパク質と結合したところにレーザー光を照射すると、色素が光に反応してがん細胞を破壊します。がん細胞のみを狙い撃ちできるため、正常組織への影響を最小限に抑えられる点が大きな特徴となっています。
2021年から耳鼻咽喉科・頭頸部外科で保険適用となっていましたが、2023年から歯科口腔外科領域においても保険診療が可能となりました。ただし、適用されるのは手術ができない局所進行、あるいは手術や化学療法を行なっても再発を繰り返す局所再発の患者さんに限られます。また、すべての施設でこの治療が受けられるわけではありません。鹿児島大学歯科口腔外科では2024年に本治療を初めて実施し、現在までに3症例を経験していますが、口腔がんでこの治療を行える施設は全国で約40施設にとどまります。新しい治療法なので、基礎研究の視点から見るといくつかの課題も残されています。
例えば、放射線治療では、治療後10年以上経ってから顎の骨が壊死する「放射線性下顎骨壊死」という副作用が起こることがありますが、光免疫療法に同様の長期的影響があるかどうかは、現時点ではわかっていないのです。また、治療後に口腔内や喉に浮腫が生じることがありますが、その発生メカニズムも解明されていません。
ガイドラインを整備し
治療の信頼性を高める
光免疫療法は、従来の治療が困難な患者さんにとって、最後の切り札ともいえる治療法です。がん細胞のみを破壊するため、侵襲性が少ないという利点が注目されがちですが、副作用が全くないわけではありません。副作用のメカニズムを明らかにし、その予防法を模索するなど安全性を高めることが重要です。私たちは「口腔がんアルミノックス治療運営委員会」を立ち上げ、適切な治療を行うためのガイドライン作成にも取り組んでいます。光免疫療法が速やかに保険適用となったことは大きな前進ですが、より信頼できる治療法として確立していくための研究を続けることが大学にいる研究者の役割だと思っています。
- 研究のポイント
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- 日本発の新規口腔がん治療法である光免疫療法の普及を図る。
- 全国の口腔がん治療症例の検討と治療の適格化、ガイドライン作成。
- 副作用である浮腫や疼痛に対する基礎的研究を促進させる。
奥井 達雄(おくい・たつお) 教授
2006年岡山大学歯学部卒業、2011年岡山大学大学院医歯薬学総合研究科修了、2011年岡山大学病院 救急科 医員、2012年岡山大学病院口腔外科医員、2014年米国インディアナ大学血液腫瘍内科、2020年島根大学医学部口腔外科学講座・准教授、2024年鹿児島大学大学院顎顔面疾患制御学分野 教授
■所属学会等:日本口腔外科学会、日本口腔腫瘍学会、日本口腔科学会、日本顎変形症学会、日本頭頸部癌学会、日本口腔内科学会、日本顎顔面外傷学会、日本顎顔面インプラント学会、日本口腔ケア学会、口腔組織培養学会、日本骨代謝学会、日本癌治療学会、米国骨代謝学会、米国癌学会、ヨーロッパ骨代謝学会、アジア口腔外科学会、歯科基礎医学会、歯科薬物療法学会、日本臨床腫瘍学会
■研究分野:○癌の骨破壊病変形成のメカニズム解明 ○癌細胞と知覚神経の相互作用の解明
共同研究者メッセージ
岡山大学病院副病院長
伊原木 聰一郎(いばらぎ・そういちろう) 教授
奥井達雄先生は、口腔がんに対して光免疫療法を九州で初めて導入されました。光免疫療法とは、がん細胞に特異的に結合する光感受性薬剤を投与後、レーザー光を照射してがん細胞を選択的に破壊する画期的ながん治療法で、多くの患者さまに大きな福音を与えました。奥井先生は口腔がんアルミノックス治療運営委員会 指針作成委員会の委員であり、口腔がん治療のトップランナーです。
「リスクへの自覚を促す教員研修教材シリーズ」を開発、無償提供へ
安全人間工学に基づいた逆算思考と教育工学を軸足に教員の不祥事を減ずる
髙瀬 和也 助教
大学院教育学研究科
従来の不祥事対策に
足りなかった視点とは
教員による不祥事は、ひとたび起これば社会的注目を集め、教育現場に大きな影響を与えます。刑法犯に限って見れば、教員という集団の発生率は一般市民と比較して非常に低いにもかかわらず、教育という公共性の高い職種であるがゆえに、常に厳しい視線が向けられ、対策の強化が求められています。これまで、多くの学校現場で行われてきた不祥事対策は、「これをしてはいけない」「違反するとこうなる」といった注意喚起型の研修でした。しかし、禁止事項や処分内容を並べるだけでは教員一人一人が当事者意識を持ちにくく、行動の変化につながりにくいのが実情です。そのため、より効果的な対策を構築できないかと考えたことが本研究の出発点となります。
私たちは、静岡大学および鹿児島県教育委員会と共同で、教員の不祥事防止のための研修教材を開発し、すでに「教員のライフキャリアとリスク」「飲酒運転のリスク」「職員間ハラスメントのリスク」「児童生徒との不適切な関係のリスク」という4つの教材を無償公開しています。研究の軸足となっているのは、より良い教育方法・教材等を生み出して教育現場に提供し、その効果を検証していく「教育工学」と、さらに、人は意図せずミスをする存在であるという前提に立ち、ヒューマンエラーを減らすにはどうすればいいのかという視点でシステムを設計していく「安全人間工学」の考え方です。
不祥事に至るプロセスを
細分化して可視化する
教材開発にあたっては、まず実際に起きた教員不祥事の事例を丹念に集め、データベースを構築することを基本としています。例えば「飲酒運転のリスク」では、単に「飲酒をした」という結果だけを見るのではなく、飲酒を伴う会合に出席する流れ、帰宅手段の選択、その場の雰囲気や心理状態など、行動を細分化して分析します。どのような判断や状況が重なって、どういうストーリーでその不祥事に至るのかを掴んでいくのです。その分析結果をもとに作成したワークシートは、「もし自分だったらどこで判断を誤る可能性があるか」を、教員の皆さんが逆算的に考えていただける構成となっています。
これらの教材は、グループディスカッション形式を採用しており、職員同士が対話を通じて学び合う設計になっています。当初は、ワークシートのみの公開を想定していましたが、教育委員会の助言もあり、進行ガイドも併せて作成しました。このように教育委員会や現場の先生方の意見を反映しながら、実務的な観点からのチェックもいただいています。
悪意に起因する意図的な
不祥事にどう向き合うか
飲酒運転や個人情報漏洩などヒューマンエラーに起因する不祥事に対する研修アプローチは、私たちの研究の中である程度確立してきました。さらに次の教材として、「子どもへの不適切な指導」をテーマにした教材開発も進めています。体罰的指導、過度な叱責、精神論、慣習的に続いてきた行事など、教育としての妥当性を改めて問い直す必要がある場面は少なくありません。また、盗撮のように意図的で悪意性の高い不祥事は、社会的影響も非常に大きいものの、どう当事者意識を持たせるのかという点が極めて難しく、現在の主要な研究課題となっています。
教育現場において、不祥事につながる危険性はあらゆる場面に潜在しています。本研究で開発した教材が、学校現場を支える教員の皆さんにとって、日々の教育活動を安心して続けていくための支えとなり、リスクを身近なものとして認識する契機となることを期待しています。
- 研究のポイント
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- 教育現場に足を運んで教員の生の声を収集するとともに、自治体が公表する統計資料なども活用し、現場に根ざしたデータベースを構築・解析する。
- 開発した教材について、現場からのフィードバックを通じて定量・定性の両面から効果を測定。その意義を言語化し、明らかにしていく。
- 現場での活用実態や教員の声を継続的に反映させて改良を重ね、ニーズに沿った使いやすい教材へとブラッシュアップしていく。
髙瀬 和也(たかせ・かずや) 助教
2018年3月静岡大学教育学部卒業,学士(教育学)、2020年3月静岡大学大学院教育学研究科修了,修士(教育学)、2025年3月早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科修了,博士(学術)、2021年10月より現職(鹿児島大学大学院教育学研究科 助教)
■所属学会等:CIEC(コンピュータ利用教育学会)、日本教育工学会、日本創造学会、日本環境教育学会等
■専門分野:○教育工学 ○安全人間工学
■研究テーマ:○ヒューマンエラー ○情報教育
現場に赴き、現物を見て、現実を知ることをモットーに、学校教育現場の役に立つものをこれからもつくり続けていきたいと考えています。
共同研究者メッセージ
鹿児島県教育委員会教職員課
中島 靖治(なかしま・やすはる) 課長
教職員の不祥事防止を目的に、鹿児島大学髙瀬研究室および、静岡大学塩田研究室のご協力のもと開発された本教材は、すでに県内すべての公立学校で活用されています。職員からは、「大きなリスクを自分事として感じた」「自分と他者との感覚の違いに気づかされた」といった声や、「職員同士、互いに気軽に声をかけやすくなった」といった声が寄せられており、この教材の効果を実感しています。髙瀬先生のアカデミックな知見とユニークな発想は、学校現場にとって非常に貴重です。今後の研究にも大変期待しています。
踏み出す勇気は
小さくていい
鹿児島の名物や特産品を全国へ届ける産地直送Web通販サイト「かごしまぐるり」。オービジョン代表取締役の大薗順士さんが手がけるこのサービスは、県内およそ300の生産者とともに1000点以上の商品を扱い、作り手の情熱や土地の魅力を発信しています。鹿大卒業後は健康食品の通販会社で長年マーケティングに従事。「鹿児島は農業産出額全国2位を誇りながら、ブランド発信や販路開拓に課題を抱えています。そのギャップを埋めたいという思いが起業の原動力でした」。
大薗さんの原点には、幼い頃から親しんだ農の風景があります。「実家は南九州市川辺町の兼業農家で、米や野菜づくりを手伝うのが日常。土に触れ、収穫の喜びを知る中で、また職人が多いという土地柄もあって、ものづくりに向き合う人への尊敬が自然と育まれました」。卒業論文ではヤムイモをテーマに先輩と奄美を訪ね歩き、自生している家を一軒ずつ訪問。知らない土地に飛び込み、対話を重ねるその姿勢は、現在の生産者取材や地域に寄り添う事業スタイルの礎となっています。
鹿大生へのメッセージを尋ねると、「少しでも興味を持ったことがあれば、ぜひ挑戦してほしいです。すぐには役に立たなくても、形にならなくても、経験は人生を豊かにし、味わい深くしてくれます。もし失敗がこわいなら小さく踏み出せばいい。動けば必ず景色は変わります。その積み重ねが、いつか自分の道につながっていくはずです。」鹿児島の食と生産者の想いを丁寧に届け続ける姿は、挑戦を前に迷う学生たちの背中を、静かに押してくれます。
令和7年度レジリエント社会・地域共創シンポジウム
「大規模火山噴火における災害医療の課題解決に向けて~他職種連携に挑む~」を開催
「大規模火山噴火における
12月21日、鹿児島大学稲盛会館キミ&ケサメモリアルホールにおいて、鹿児島大学地域防災教育研究センター主催による令和7年度レジリエント社会・地域共創シンポジウム「大規模火山噴火における災害医療の課題解決に向けて~多職種連携に挑む~」を開催しました。
会場とオンラインのハイブリッド形式で実施し、県内外から自治体職員、医療・福祉関係者、学生など約230名が参加しました。
開会にあたり井戸章雄学長よりあいさつがあり、続いて一般社団法人国立大学協会の林佳世子専務理事より来賓あいさつをいただきました。
第1部では、大規模火山噴火災害への備えをテーマに、DMAT・DPAT・JRAT※ をはじめ、薬剤師、管理栄養士、保健師など多職種による災害医療・支援活動について、実際の災害対応事例を交えた講演を行いました。医療体制の確保や避難所運営、要配慮者支援などにおいて、長期的かつ複合的な対応が求められることを示しつつ、各専門職の役割や連携の重要性、平時からの備えの大切さを共有しました。
第2部のパネルディスカッションでは、「多職種連携に挑む」をテーマに、事前質問や会場からの質問をもとに活発な意見交換が行われました。閉会にあたり宮本篤理事(企画・社会連携担当)は、本シンポジウムを通じて現場の課題とその解決に向けた多様な視点を共有できたと総括しました。
また、会場では桜島大正噴火のAIカラー化写真展示や、VRによる降灰体験なども実施し、来場者が防災への理解を深める機会となりました。参加者からは、「多職種の視点を一度に学べて有意義だった」「平時からの備えの重要性を改めて実感した」などの感想が寄せられました。
※DMAT:災害派遣医療チーム、 DPAT:災害派遣精神医療チーム、 JRAT:日本災害リハビリテーション支援協会
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井戸章雄学長が鹿児島日経懇話会例会で講演
12月9日、井戸章雄学長が、鹿児島日経懇話会例会において、「鹿児島大学の挑戦~地域課題を強みに変えて『豊かさ』を再考する~」と題し、県内経済界のリーダーに向けて講演を行いました。
本講演は、日本経済新聞社鹿児島支局から、地元を代表する経済・産業界等のリーダーである鹿児島日経懇話会会員の方に対し、本学のさまざまな取り組みについて説明する機会をいただいたものです。
井戸学長は、約80分間にわたり、「進取の精神で、地域と世界の未来に挑む教育研究拠点」として、国内外で活躍する柔軟で幅広い視野を持った人材を育成し、地域課題を「強み」に変える実力を備えた「選ばれる大学」をつくりたいと抱負を語りました。
講演後の質疑応答では、ご意見ご質問をいただくなど、地域社会の交流の場として貴重な機会となりました。
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副学長(国際担当)がインドネシアを訪問・学術交流協定校及びインドネシア同窓生らと交流
1月8日から9日にかけて、郡山千早副学長(国際担当)がインドネシアを訪問し、学術交流協定校およびインドネシア同窓生らとの交流を行いました。今回の訪問は、インドネシア学術交流協定校およびインドネシア同窓会との連携強化を目的に実現したものです。
1月8日はボゴール農科大学を訪問し、Alim Setiawan Slamet学長のほか、同大部局長等28名と懇談し、鹿児島大学とのさらなる交流の可能性等について意見交換を行いました。その後、インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)を訪問し、Arif Satria BRIN長官(ボゴール農科大学前学長、本学連合農学研究科修了生)、Luky Adriantoインドネシア同窓会長(ボゴール農科大学海洋水産研究所長、本学連合農学研究科修了生)をはじめ、鹿児島大学インドネシア同窓生ら約70名と懇談し、懇談では、まずLuky同窓会長に国別海外同窓会設置証明書を授与しました。続いて鹿児島大学との交流を希望する大学や企業から意向確認書への署名があり、さまざまな分野から本学への要望が寄せられ、活発な意見交換を行いました。
1月9日はインドネシア大学を訪問し、Fadhilah Muslim教育国際担当部長ら5名と懇談し、両大学の学生派遣期間や受け入れ可能部局等について情報を共有し、相互派遣を推進することを確認しました。
両日とも終始友好的な雰囲気の中で交流が行われました。今回の訪問により本学とインドネシアとの連携が一層深まり、今後の教育・研究活動の発展につながる有意義な機会となりました。
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【寄稿】「樟寿会便り」 ー第22回総会・記念講演会・懇親会報告ー
「樟寿会」は、鹿児島大学歴代学長、現学長、鹿児島大学名誉教授を主な構成員とし、会員同士の親睦を図る全国的にも非常にユニークな組織です。会員数は令和7年度時点で300名の大台を超えました。「第22回総会・記念講演会・懇親会」は、11月22日に、鹿児島大学郡元キャンパス内「稲盛アカデミー」で、対面参加者35名、オンライン参加者約10名のハイブリッド形式で開催しました。当日は前田芳實会長のあいさつの後、幹事からの活動報告、会計監査報告等を例年通り行いました。記念講演では、多方面で活躍している水産学部大富潤教授が「鹿児島に新しい食の風をーうんまか深海魚の魅力」と題し、さまざまな資料をもとに鹿児島の「海の幸」の魅力を熱く語りました。また、井戸章雄学長は、「鹿児島大学の現状と展望」をテーマに、詳細なパワーポイントを用いて、独自の研究や地域貢献等のさまざまな取り組みを説明しました。
さて、「人生100年時代」と言われる現代において、長生きするための3要素がしばしば強調されています。1点目はバランスの取れた栄養摂取、2点目は健康を保つための適度の運動、そして3点目は社会的交流です。特に社会的交流は、個人的活動では困難な場合があるため、鹿児島大学という共通の職場環境を持つ者同士が、定期的に交流の場を持つことは大変意義深いことと思われます。当日の総会・懇親会参加者の最高齢の方は90歳を超えていましたが、健康的な姿が非常に印象的でした。(総会等の詳細は、鹿児島大学ホームページの「樟寿会」の項目をご参照ください)
鹿大「進取の精神」支援基金への寄附者様ご芳名一覧
鹿大「進取の精神」支援基金へのご協力を賜りました皆様に心より御礼申し上げます。
お受けいたしました寄附金は、基金の目的に沿って有意義に活用させていただきます。
ご寄附いただきました皆様方への感謝の意を込めまして、ご芳名等を掲載させていただきます。
なお、ご意向により、ご芳名等の掲載をご希望されない寄附者様につきましては、本誌に掲載いたしておりません。
今後とも、鹿児島大学へのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和8年3月
国立大学法人鹿児島大学
学長 井戸 章雄
【2025年1月から2025年12月までの寄附者様】(五十音順・敬称略)
一般資金
個人
- 十万円
-
北 照子坂巻 祥孝
- 五万円
-
甲斐 鋭一
- 四万円
-
松成 裕子
- 二万円
-
横山 真由美横山 真理
- 三千円
- 羽生 信
- 千円
- 辻 潔
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
石郷 岡政広木方 十根佐野 輝田中 賢治田上 公廣西澤 保孝西村 隆子西村 信幸根路銘 安仁野口 裕子福田 慶一三井 薫吉田 宏脇田 喬
団体等
- 百五十万円
- 重富商事株式会社
- 五十万円
- 公益財団法人米盛誠心育成会
- 二十万円
- 鹿児島大学OB&OG
ゴルフ大会実行委員会 - 掲載を希望されない寄附者様
- 三十名
リサイクル募金
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
井上 公美井上 美穂尾山 裕子是枝 英華柴田 竜二高橋 啓三德永 英里子鳥飼 久裕西川 朝美松見 あずさ吉仲 健一
- 掲載を希望されない寄附者様
- 四十六名
修学支援事業基金
個人
- 五十万円
- 鹿毛 健広
- 十二万円
- 田中 達朗
- 十万円
- 比嘉 健裕
- 一万円
- 八幡 兼成
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
有銘 工徳重 光郎谷口 裕麻並松 靖子
- 掲載を希望されない寄附者様
- 十一名
課外活動支援基金
(Giving Campaign)
個人
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
五十嵐 光栄今川 豊今村 剛小野山 敏郎新内 純恵新藤 啓介徳留 敦永仮 天翔永田 眞一郎永田 佑輔畑田 康太朗濱 崇博藤野 恭之又吉 斎右田 昭文溝口 健太宮地 和幸山本 眞山本 元美山本 悠介吉村 秀清吉村 雅也
- 掲載を希望されない寄附者様
- 百七十名
歯学部基金
個人
- 五万円
-
陣 桂一松元 勝彦
- 三万円
- 田松 裕一
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
安藤 典甫永原 絹子西谷 佳浩萩原 和繁
団体等
- 四十一万円
- 鹿児島大学歯学部後援会
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
- 一般財団法人梶原浩喜財団
- 掲載を希望されない寄附者様
- 八名
鹿児島大学病院基金
個人
- 三百万円
- 佐野 輝
- 二百万円
- 稲盛 一男
- 百十六万六千円
- 坂本 泰二
- 十万円
-
長深田 稔山﨑 正人
- 五万円
- 赤崎 安昭
- 三万円
-
佐藤 秀夫鈴木 麻里八代 利香
- 一万円
- 榎並 伸太郎
- 二千円
- 森園 勝義
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
青﨑 孝子阿久根 誠家村 和千代石塚 賢治市坪 卓朗大堀 純一郎小田 里知子菊永 孝二中島 勝秀永野 廣子西谷 佳浩萩元 美恵野浜崎 和則美坂 英樹三井 薫宮口 智子吉田 芳子吉留 正次
団体等
- 五十万円
- 一般財団法人親和会
- 三十万円
- 株式会社アーステクノ
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
- 石塚賢治先生鹿児島大学 医学部同級生有志
- 掲載を希望されない寄附者様
- 二十四名
練習船基金
個人
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
濱崎 健一屋富祖 哲雄山田 悦渡口 眞二
- 掲載を希望されない寄附者様
- 五名
医学部医学科教育基金
個人
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
三井 薫柳井谷 深志
- 掲載を希望されない寄附者様
- 一名
教育学部附属学校園基金
個人
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
有村 純賴金木 詔子永友 邦代牧野田 栄一
- 掲載を希望されない寄附者様
- 五名
動物病院基金
個人
- 十万円
- 松本 知明
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
原田 直美増利 裕之
- 掲載を希望されない寄附者様
- 五名
工学部教育研究支援基金
個人
- 十万円
- 塩屋 晋一
- 五万円
- 上田 猛志
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
- 青木 雄治
- 掲載を希望されない寄附者様
- 三名
SKLVセンター基金
個人
- 二万円
- 横山 真由美
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
山下 憲一郎山下 紀幸
農学部基金
個人
- 十万円
- 三宮 康司
- 五万円
- 坂巻 祥孝
- 二万円
- 横山 真理
- ご芳名のみ掲載希望の寄附者様
-
北原 兼文侯 德興寺岡 行雄山本 雅史
団体等
- 四十万円
- 鹿児島大学農学部 あらた同窓会鹿児島支部
- 十万円
- 森と木の研究所
- 掲載を希望されない寄附者様
- 四名
鹿児島大学理学基礎研究支援金
- 掲載を希望されない寄附者様
- 一名
株式会社マルマエ
- 貴社の業務やSDGsへの取り組みなどについて教えてください
- 半導体製造装置の真空パーツ等を一貫生産する事業を通じ、情報社会を支えています。SDGsへの取り組みとして、再生可能エネルギー活用によるCO2削減や、廃液削減などの環境負荷低減を推進。持続可能な社会の実現を目指しています。
- 本学の学生に向けて応援メッセージをお願いします!
- 鹿児島大学での出会いや経験は、かけがえのない宝物になります。私たちも互いの違いを認め合い、共に成長できる環境を大切にしています。自分だけの「道」を大切にしながら、失敗を恐れず、ワクワクする未来へ挑戦し続けてください!
アンケートに答えて
鹿児島大学オリジナルグッズをGET!
今後のよりよい誌面作りのため、皆様からのご意見・ご感想をお寄せください。アンケートにご協力いただいた方の中から抽選で5名様に『鹿児島大学オリジナルグッズ』をプレゼントします。

こちらのフォームからご応募ください。
[アンケートにおける個人情報の取り扱いについて]
ご提供いただいた個人情報は、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
鹿大「進取の精神」支援基金へのご寄附のお願い
鹿大「進取の精神」支援基金は、2015(平成27)年の一般資金創設から、趣旨にご賛同いただいた多くの皆様方からご支援をいただき、現在では、修学支援事業基金や学部等支援基金*などの特定資金を加え、本学の教育・研究活動充実のため、大切に活用させていただいております。一般資金には、ご不要となりました本などの物品をご提供いただき、その査定金額をご寄附いただくリサイクル募金もございます。皆様からのご支援をお待ちしております。
【お問い合わせ先】
鹿児島大学総務部総務課広報・渉外室基金・渉外係
TEL:099-285-3101
*学部等支援基金:歯学部・鹿児島大学病院・練習船・医学部学科教育・教育学部附属学校園・動物病院・工学部教育研究支援基金・SKLVセンター基金・農学部基金
- 鹿児島大学公式ファンクラブのご案内
-
鹿児島大学に心を寄せてくださる皆さまとつながり、集い、語り合える鹿大と未来をつくるコミュニティを目指しています。鹿児島大学が主催するさまざまなイベントなどを通じて、大学の魅力を発信し、地域の皆さまとの交流を促進します。
公式HP会員登録無料
鹿児島大学工学部4年馬場 健輔さん
鹿児島大学法文学部4年藤 尚剛さん
離島の翼を支えるエアラインパイロットを目指して
SKYCAMP5期生、海外で挑む「道なき道」への挑戦
「第8回学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード」で優秀賞を受賞した「操縦飛行体験SKYCAMPプログラム」(以下、SKYCAMP)。鹿児島大学とJALグループが連携し、離島を抱える鹿児島の地域課題解決と学生の自己成長を融合させたインターンシップとして評価されました。このSKYCAMPに5期生として参加した馬場健輔さんと藤尚剛さんが当時を振り返ります。「長年憧れてきた空で実際に飛行機を操縦する経験を通して、パイロットという夢が人生をかけて追い続ける価値のあるものだと実感しました(馬場さん)」「ほぼ初対面だった8人が経験を共有するなかで一体感が生まれ、同じ目標に向かって共に挑戦する機会が得られたことをありがたく感じています(藤さん)」。
馬場さんと藤さんはSKYCAMPを経て「地域密着型パイロット人財創出プログラム」の5期生として日本エアコミューター株式会社への入社が内定。今後はオーストラリア・アデレードにあるJALグループの訓練施設にて、パイロットライセンス取得に向けた訓練に挑みます。
馬場さんは「道なき道を切り拓き、後輩たちへとつなげていく挑戦に魅力を感じています」と語り、藤さんは「海外で訓練を受けられる環境に身を置けることはありがたいです」と、意気込みを語ってくれました。支えてくれた人たちへの感謝を胸に、2人は新たな舞台へと踏み出します。
私の座右の銘
動機善なりや、私心なかりしか(馬場さん)
鹿児島大学名誉博士で京セラの創業者・稲盛和夫氏の言葉です。私利私欲のためではなく、誰かのためという思いで取り組めば、物事は必ず成功する。この言葉が、パイロットという夢を追い続ける大きな後押しとなりました。
私の座右の銘
一生懸命(藤さん)
自分にできることは決して多くないと思いますが、今置かれている環境の中で、できることに精一杯取り組むことが良い生き方なのではないかと考えています。これからも、自分にできることに全力で向き合っていきたいです。
あの頃の「夢」を、今叶えよう!
- SATSUMAロケット研究会とは?
- 火薬を用いたモデルロケット、空き缶サイズ人工衛星cansat、飛行ロボット、ハイブリッドロケットの製作をしています。地域貢献活動にも取り組んでいます。
- SATSUMAロケット研究会の魅力は?
- 夢だった航空宇宙分野に大学で得た仲間や知識、技能、ロケット発射場を有する鹿児島というフィールドを活かして自由に挑戦できるのが数ある魅力の1つです。
- 活動内容について教えてください。
- これまで学んだ技術力が試される種子島での大会に参加します。自作ロケットやcansatを設計・製作・打ち上げし、回収やミッション達成度を評価されます。
DATA ※2026年1/20 時点
- 部員数
- 30名
- 活動場所
- 機械工学1号棟1階
- 活動日時
- 自由
SNS & CONTACT
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